Scrap Book of District 11

備忘録とか

『愛と精霊の家』を再視聴しました

高校時代の課題本だった『精霊たちの家』原作の映画『愛と精霊の家』を再視聴しました。

映画を見るのは、それこそ高校の授業で鑑賞会をした時以来。今primeでレーティングを確認したら、R18+だったんですが……あの…高校の先生……!!!!

以下、ネタバレです。

初見では理解できなかったシーンが理解できたりと、また新しい発見がありました。

思えば、この映画の原作を読んだ時にとてつもない衝撃を受けたんですよね。愛憎渦巻く親子3世代のお話。自創作のメキシコ三部作も実は、『精霊たちの家』と『百年の孤独』から着想を得ているので、改めて自分の原点を見つめ直すことができました。
(そういえば『百年の孤独』はやっと文庫化しますね! 楽しみです)

好きなシーン、選べないんですけど、キャラクターはエステバン・トゥルエバがやっぱり好きです。孤独の中自分の腕一つで成り上がった強情で横暴な暴力男ですが、なんだかんだ愛妻家・家族が好きなのが良い。まぁ、総合的に見ると最低な男なんですけど……。

この作品の中で、最低な男といえば、やっぱり軍人の方のエステバン・ガルシアですよね。復讐に一生を捧げた最低な軍人なのですが、原作と比べるとやはり映画の方が若干(あれでも)マイルドになっていました。

あと、クララとフェルラ(エステバンの姉)の同性間の強い友情ですよね。課題図書のディスカッションで「フェルラはビアンなのでは?」という声も上がっていたことを思い出つつ「確かにこれは百合だ」と思いながら観ていました、二人の濃ゆい友情を…。

ただ、この映画の惜しいところは、3世代のところを2世代に短縮したところかな、と今でも思います。確かに、3世代目は出てきますが、ほとんど2世代目のお話に統合されているところが悔しかった……。確かにしっかり3世代描写しようと思うと4時間の映画(インド映画か?)とかになってしまうので、尺の都合なのは仕方がないのですが…。そこだけが惜しい。あと欲を言えば、ローサとアルバを原作通り緑髪にしてほしかったです……。

何はともあれ、自分の「好き」の源泉は『精霊たちの家』なので、再視聴して、自分の「好き」を再確認できたのは良かった。

男女の恋愛もあり、身分差の恋もあり、百合もあり、エロティシズムとグロテスクもあり、なんでもありのてんこ盛りで「こんなに盛っていいんだ…」と少し驚いています。やっぱりラテンアメリカ文学は少しのフェティシズムはあった方がいいよね、と改めて思ったのでした。